生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 中間評価結果

宿主決定の分子機構:植物マイコプラズマの遺伝子発現・制御メカニズム

(東京大学大学院農学生命科学研究科 難波 成任)

評価結果概要

全体評価

研究全体としては、遺伝子レベル、タンパクレベルの成果が着々と上がっており、順調に進展している。
しかし目標とする植物マイコプラズマの宿主決定あるいは感染メカニズムの分子生物学的な解明には、さらに格段の努力が必要。
生成タンパク質と特異性の関連性を明確にし、その特異的抗体を用いた免疫組織化学的な改正は有意義である。

中課題別評価

(1)植物マイコプラズマの宿主決定の分子機構
(東京大学大学院農学生命科学研究科 難波 成任)

本研究は我が国が世界の植物マイコプラズマ研究をリードする基 盤となっている。しかしながら、当初掲げられた研究目標の完全達成は時間的制約との問題がある。
今後ゲノム配列の解析の完成と、植物マイコプラズマの形質転換系の早急な確立を望む。

(2)植物マイコプラズマの植物及び昆虫における宿主決定機構の個体・器官レベルでの解析
((財)農民普及協会 土崎 常男)

植物マイコプラズマの昆虫体内での増殖の有無の検定、注射法による導入方法の開発等に意義を認めるが、今後は難波グループが作成した抗体を用いて植物マイコプラズマの動態を組織化学的に追求すれば、全体の目標達成に貢献できる。

(3)植物マイコプラズマの植物及び昆虫における宿主決定機構の組織・細胞レベルでの解析
(農林水産省農業研究センター 松田 泉)

人工培養できない植物マイコプラズマの変異株を作出するというサポート的性格が強かったため、研究目標の達成にはほど遠い状況にある。
変異株の取得への努力を続けつつ、宿主特異性等と関連性が確かな発現タンパク質の分離、精製、同定等の研究を進めることが望まれる。
→ 11年度で研究終了