生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 中間評価結果

新生物資源生産・変換のための機械・装置に関する基礎研究

(東京大学大学院農学生命科学研究科 岡本 嗣男)

評価結果概要

全体評価

対象作物に統一がないこと、共通技術として重要な位置決め技術や自立走行技術に連携がないなど、開発に対する共通のコンセプトのないまま連携を欠いた研究がなされている。また、各技術の原理、適応面についての事前の検討が十分でない研究がみられる。
成果について課題間でばらつきが大きく、研究期間内に目標達成が著しく困難な課題もあり、中課題の打ち切りを含む大幅な見直しが必要である。

中課題別評価

(1)生産環境情報に基づく施肥機械システムの研究
(筑波大学農林学系 坂井 直樹)

サツマイモとトウモロコシの施肥量を変えた栽培試験により投入産出分析を行い一定の成果を得ているものの、本研究の目的である施肥量の制御情報にはほど遠い。また施肥量可変制御機構の研究も大幅に遅れている。
今後本研究で成果を上げるためには、(3)の収量マップとイネの元肥追肥施用を一体として扱える管理作業機械システムとして検討する必要がある。
→ 10年度で研究終了

(2)画像処理に基づく防除機械システムの研究
(東京大学農学部付属農場 米川 智司)

雑草の識別とロボットマニピュレーターを用いた局所防除に関する成果については評価されるが、本研究の目的であるバイオマス生産用機械として妥当性に疑問がある。
従って、本年度をもって終了が妥当。
→ 10年度で研究終了

(3)群管理システムを中心とした収穫・運搬機械システムの研究
(京都大学大学院農学研究科 梅田幹雄)

群管理用コンバインの開発、収量マップの作成は研究成果として評価される。
なお、本研究については、日本におけるプレシジョンファーミングの先端的研究として評価できるので、(1)と一体的な研究が可能であれば、密接な連携の基に研究を継続することが望ましい。

(4)バイオマス燃焼装置の制御に関する研究
(宇都宮大学農学部 竹永 博)

これまでの研究は炭化過程の研究が中心で、インピーダンス計測での制御が可能なことを解明するに留まっており、研究計画で想定している三炉構成の燃焼装置の開発は困難である 従って、本年度をもって終了することが妥当。
→ 10年度で研究終了

(5)バイオマス燃焼小形動力変換装置の研究
(東京大学大学院農学生命科学研究科 岡本 嗣男)

研究は著しく遅れており、成果が上がっているとは言い難い。これは、目標装置のコンセプトに問題があると判断せざるを得ない。
あと2年で研究目標を達成することは困難であり、本年度をもって終了することが妥当。
→ 10年度で研究終了

(6)電場付与式燃焼・動力変換装置の研究
(日本大学生物資源科学部 冨田 節雄)

廃植物油のエステル化技術には新規性がないこと、電場付与効果の評価に疑問があることに加え、研究手法自体にも問題が多いことから、本年度をもって終了することが妥当。
→ 10年度で研究終了

(7)液状バイオマス資源の濃縮法に関する研究
(東京大学大学院農学生命科学研究科 瀬尾 康久)

プロトタイプの濃縮装置を開発したことは高く評価されるが、この手法は液体バイオマスの濃縮より食品等高付加価値産品の濃縮で活用されるものと思われる。
従って、本年度をもって終了することが妥当。
→ 10年度で研究終了

(8)低温メタン菌の集積培養装置に関する研究
(筑波大学農林工学系 前川 孝昭)

低温メタン発酵装置の開発を行い、関連研究の成果も含めて特許申請したことは高く評価される。
しかし、研究自体は基礎研究の段階を完了しており、今後は民間企業等の協力を得て農村現場での実証に移していくべきである。
→ 10年度で研究終了