(農林水産省野菜・茶業試験場 袴田勝弘)
評価結果概要
全体評価
目標の設定、進捗状況に問題があり、中課題の終了を含む大幅な見直しが必要である。一般的にいって、もっとヒトでの研究が必要。
中課題別評価
A 茶を用いたアレルギー予防食品開発のための免疫担当細胞の機能解明
(農林水産省野菜・茶業試験場 山本 万里)
- (1)ヒトアレルギー関与細胞株の樹立とその細胞機能の解析(農林水産省野菜・茶業試験場 山本 万里)
アレルギー関与ヒト細胞株を樹立するための選択的親細胞株3種及び融合細胞株を取得しT細胞とマスト細胞共存培養下における細胞機能を解析した。今後茶の抗アレルギー性を中心に計画を進めるべきである。 - (2)食品アレルゲン特異的分解抗体酵素の開発とアレルゲン特異的IgEの制御因子の探索(九州大学農学部 立花 宏文)
アレルゲン特異的抗体酵素のアイデアはユニークであり評価できるが、「茶機能検定系」との関連が薄い。茶成分の抗アレルギー成分の分離、同定を徹底して行う必要がある。 - (3)アレルギー関与細胞による酸化的ストレス関連成分検索システムの開発と抗アレルギー作用物質の探索(静岡県立大学薬学部 佐野 満昭)
新規の抗アレルギー成分を見いだしたことは評価できるが、抗アレルギー作用と抗酸化作用の関連性が明確に位置づけられていない面がみられる。
必要以上に間口を広げることなく、研究期間内に茶成分が実際に動物、ヒトレベルで効果があるのかについて、機能性成分の吸収・代謝を含めた検討が必要。
B 茶の機能性に関わる成分の解析と作用機構の解明
(静岡大学農学部 杉山 公男)
- (1)茶成分の新規機能性の検索とその作用機構に関する研究(静岡大学農学部 杉山 公男)
肝障害の研究を除いては散漫であり説得力に欠ける。今後肝障害の予防に重点を絞るべき。 - (2)緑茶及び緑茶カテキンの抗ヘリコバクター・ピロリ効果に関する検討(静岡県立大学短期大学部 小國 伊太郎)
多くの実験データは得られているが、疫学的調査の段階に留まっており、当初目標は達成されていない。今後は抗ピロリ作用のメカニズムの解明が必要であるが、今後の2年間で疫学的研究を脱しきれないと考えられることから、研究終了が望ましい。
→ 10年度で研究終了 - (3)茶葉中水溶性高分子画分(TNDs)の発がん抑制と老化制御に関する研究(静岡県立大学薬学部 中村 好志)
老化制御の部分を除いては期待どおりの成果が得られている。今後TNDsの構造決定について早急に結論を得るとともに、発がん抑制効果の臓器別効果の違い、機構についての検討も望まれる。 老化制御に関する研究については、計画の再構築が必要。 - (4)緑茶成分(テアニンなど)の脳・神経機能に関する研究(静岡県立大学食品栄養科学部 横越 英彦)
テアニンの効果について、正しい対照実験がなされていない。テアニンの効果がヒトで説得力のある実証がなされなければ、研究を継続すべきではない。グルタミン、グルタミン酸を対照にしてヒトで検証し実証されなければ、次年度をもって終了が適当である。 → 11年度で研究終了