生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 中間評価結果

哺乳動物の高度に発達した薬物代謝機能を利用した環境負荷物質の代謝・分解技術の開発

(神戸大学農学部 大川 秀郎)     

評価結果概要

全体評価

たばこのクロロプラストにP450を発現させる等研究は計画以上の進展をみせている。
今後は基本的には当初計画どおり研究を継続してよいが、産業利用のつながる研究と独創的研究につながる研究の両面を意識して研究を充実することが望まれる。

中課題別評価

(1)哺乳動物の薬物代謝酵素系を利用した環境負荷物質の代謝・分解に関する研究
(神戸大学農学部 大川 秀郎)

P450分子種の代謝機能の解析が進み、多くの発現プラスミドが構築されるなど、当初計画を上回る着実な成果が上がっている。
今後は、対象となる代謝が広範囲になるほど環境に対する総合的なリスクアセスメントが必要となるので、解毒代謝における代謝産物の分析も重要な検討課題となる。

(2)植物への薬物代謝遺伝子の導入と評価
(農林水産省生物資源研究所 大川 安信)

複数のP450分子種をバレイショ、イネに単独あるいはP450還元酵素との融合酵素遺伝子を導入し哺乳動物等のP450分子種の薬物代謝機能を持った多数の形質転換体を作出したことは評価される。
今後は植物種による機能発現の違いの分子機構の解明や広く安全性や環境生態系への影響評価という側面にも研究の目を向けることが重要。