生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 中間評価結果

味覚シグナリングの分子機構の解析と食品の品質設計基盤の展開

(東京大学大学院農学生命科学研究科 阿部 啓子)    

評価結果概要

全体評価

味覚の全体像を明らかにするようないくつかの新規の知見が得られており評価される。今後当面の重要な課題である味覚レセプターの同定に成功すれば、世界的にも高いレベルの研究成果が得られる。
基本的には研究計画どおり継続するが、味覚レセセプターの同定については研究手法の検討も含め重点的に検討が必要。

中課題別評価

(1)味覚受容と細胞内シグナリングの分子機構
(東京大学大学院農学生命科学研究科 阿部 啓子)    

味覚レセプターの同定が終わっていない等遅れている研究分野もあるが、当初想定していなかった新たなGタンパク質、CNGチャンネル、Caチャンネル等の存在の確認や発現の解析等進んだ成果もみられ、評価される。
今後は、味覚レセプターの同定については研究手法の検討も含め重点的に検討するとともに、ヒトの味覚異常の解明の研究に当たっては、亜鉛欠乏等の味覚障害からのアプローチについて検討が必要。

(2)味覚シグナリングに関与する味細胞・味神経の分子生物学的解明
(東京大学大学院理学系研究科 榎森 康文)

魚類にもほ乳類と同じような受容体が存在することを明らかにするとともに、それらの相同性解析等を行っていることは評価される。
魚類側の研究において味覚受容体の発現と味覚応答解析システムの立ち上げに成功すれば、ほ乳類での研究に対して重要な情報を提供できる。
今後味覚に関する既存データの多い魚種を取り上げてそれらのデータを有効に活用することにも配慮すべき。