(東京大学大学院農学生命科学研究科 野口 忠)
評価結果概要
全体評価
広範なテーマが設定されており、研究全体に独創性のある高い水準の研究が行われている。学術上の研究成果は充分認められ、インパクトファクターの高い学術論文としての公表が期待できる。しかし、部分的には当初想定したようには成果が上がっていないものがあるが、これについては今後の展開方向を充分に検討する必要がある。
中課題別評価
(1)消化管の諸機能の制御を意図した食品設計の基盤設計
(東京大学大学院農学生命科学研究科 野口 忠)
レプチンとの相互作用をもつ脂肪酸を特定し、経口抗原に対する消化管リンパ球の特異性、種々のトランスポーターが食品成分により制御されていること等見いだし、ヒトフローラノトバイオートマウスを作出している。機能性食品の候補物質を早急に同定する必要があり、食との関係を明確にして、研究の焦点を絞る必要がある。
(2)消化管の神経機能の制御を意図した食品設計の基盤解析
(京都大学大学院農学研究科 佐々木 隆造)
消化管における成分吸収では微量金属元素のトランスポーターについては順調に進捗しているが、グルコースの受容体の同定には成功せず、当初の目的を達成していない。今後は、神経活動に重要な機能のある微量金属の吸収及び体内分布の制御様式の解明に重点化することが望ましい。
(3)消化管の代謝機能の制御を意図した食品設計の基盤解析
(東京学芸大学教育学部 渡辺 道子)
グルタミンを多量に含むペプチドの作成、低アレルゲンコムギ食品の作成等の成果をあげており、現実の食品に直結するインパクトがあり独創性は高い。中課題1)、2)の成果との連携により、この方向で進めることが望まれる。