生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2002年度 中間評価結果

生体関連触媒を用いる植物資源からの高分子新素材の創出

(京都大学大学院工学研究科 宇山 浩)

評価結果の概要

全体評価

本研究は天然未利用資源を利用して高付加価値の素材を創出することを目指したものであり、特徴的な手法として化学的(触媒)及び生物的(酵素)な酸化を軸にして、セルロ-ス、タンパク質、油脂等を加工し、実用的な高分子を作り出すことが試みられている。
多数の研究項目についてスクリ-ニング的に実験と評価を行っており、中間評価時点で、まだ定性的な部分も多いが、後半の研究の展開に向けた有意義な成果が得られており、研究計画をやや上回る進捗状況と思われる。
これまでに種々の成果が得られているが、そのうちでも、セルロ-ス-フェノ-ル重合体はかなりの成果といえよう。ポリペプチドやフラボノイドとポリフェノ-ル重合体とのハイブリッドは興味深いが、さらなる研究が望まれる。油脂を原料としたナノコンポジットや硬化膜フェノ-ル重合体等については、新素材として有望と推察される一定の成果が得られているが、今後さらなる研究の展開が期待される。
中間評価時までに得られた知見から、高分子新素材の創出に向けて、タ-ゲットを絞り、重点的かつ効率的な研究の展開が必要である。今後、実用的に期待されるものについて、新素材としての実用化の可能性を検討するとともに、学術的研究としても内容を大いに深める必要がある。特に、分子レベルでの反応機構の解明、反応の制御及び生成物の構造と物性との相関の確立が最も重要である。このような基礎部分が構築されることにより、多くの有用な素材が開発されるものと考える。