生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2004年度 中間評価結果

健康長寿社会に向けた食品開発のための食品物性・感性科学的研究

(独立行政法人食品総合研究所 神山かおる)

評価結果概要

研究項目の感性情報処理を用いた最適食品の設計が遅れている点を除けば、全般に着実に研究が推進されている。 咀嚼圧計測による食品感性解析では、液状・ペースト状食品を一定量摂取する際の口唇圧を測定できるセンサの開発、また、多点シートセンサを用いて食品を咀嚼する過程の咀嚼挙動の解明は、高齢者食品開発の基礎的研究に必須のものであり、独創的なものと考えられ、この分野の最先端を行く研究といえる。摂食中の脳活動解析では、NIRS(近赤外分光法)単独での脳機能マッピングの手法開発はほぼ遂行できたが、摂食との関係に関しては、開始後間もない段階であり評価しにくい。感性を反映した食品レオロジー特性解明では食品開発にどのように結びつけるかが今後の課題である。これまでの成果は高く評価できる内容であり、高いレベルの国際誌に公表されている。生物系特定産業への寄与について、各々目標を達成するとともにその成果を組み合わせて具体的提案が出されることで大きな寄与が期待される。今後の研究の進め方としては、感性情報処理を用いた高齢者向けの最適食品の設計を更に促進しつつ、咀嚼機能の低下した高齢者のニーズ等を念頭に、所期の研究計画にしたがって研究を推進すべきである。