生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 研究成果

茶機能検定系の構築と茶成分新機能の解析

研究項目及び実施体制(◎は総括研究代表者)

  • 茶機能検定系の構築と茶成分新機能の解析
    (◎袴田勝弘/農林水産省野菜・茶業試験場)
  • ヒトアレルギー関与細胞株の樹立とその細胞機能の解析
    (山本(前田)万里/農林水産省野菜・茶業試験場)
  • 茶成分中における食品アレルギー反応抑制因子の探索
    (立花宏文/九州大学大学院農学研究院)
  • アレルギー関与細胞による酸化的ストレス関与成分検索システムの開発と抗アレルギー作用物質の探索
    (佐野満昭/静岡県立大学薬学部)
  • 茶成分の肝障害抑制効果とその作用機構に関する研究
    (杉山公男/静岡大学農学部)
  • 茶葉中水溶性高分子画分(TNDs)の発がん抑制に関する研究
    (中村好志/静岡県立大学薬学部)

研究の目的

茶の機能性については、十数年前より研究が行われてきたが、本研究においては、茶の機能性に関わる既知及び未知の成分を対象に体系的に研究を行い、茶の健康に対する寄与効果を実証し、茶特有の優れた機能性素材としての道を切り拓き、茶産業や食品産業の発展に資することを目的としている。

研究の内容

効果的な抗アレルギー性検定系の構築を目的に安定したヒトアレルギー関与免疫担当細胞株を樹立し、抗アレルギー因子探索のための評価系構築して、茶葉中より新規の抗アレルギー因子を探索、単離、同定する。また、新たな機能性として、肝臓障害抑制作用及び抗がん(発がんプロモーション抑制)作用をもつ物質を茶成分から単離し、作用機作の解明を行う。新たな茶の機能瑞ォの解明により、茶の需要拡大、茶産業、食品産業への応用を目指す。

主要な成果

  • 効率的な抗アレルギー性検定のためのヒト融合親細胞株、ヒトマスト細胞株、ヒト好塩基球株、ヒトB細胞株を樹立して細胞機能を解析した。また、新たな茶葉中抗アレルギー物質としてエピガロカテキン-3-0一(3-0一メチル)ガレート、エピガロカテキン-3-0-(4-0-メチル)ガレート(いずれもマスト細胞活性化抑制物質)及ぴストリクチニン(IgE産生抑制物質)を単離・精製し、その作用機作、合成法、代謝経路等を解明した。
  • 茶が肝障害(LPSによる肝炎モデル系等)を抑制する、それにはカフェイン、カテキンが関与し、特にカフェインはTNFーα産生阻害によりアポトーシスを抑制することで肝炎抑制作用を示すことを明らかにした。
  • 茶の水溶性高分子画分は発がんプロモーション抑制作用をもち、細胞毒性が少ないこと、活性成分は、APー1転写活性化を抑制してがん化を抑制する化合物(EGCG等)とAP-1転写活性化を抑制せず細胞の形態制御系を修飾してがん化を抑制する化合物(ミリシトリン等)が混在する複合タンニンの混合物であることを明らかにした。

研究のイメージ

茶機能検定系の構築と茶成分新機能の解析