生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1996年度 採択された研究課題

CO2固定細菌を利用した地球環境修復システムの構築

研究代表者氏名及び所属

森川 正章(大阪大学大学院工学研究科)

研究実施期間

平成8年度~12年度

研究の趣旨・概要

1994年度の日本のCO2排出量は、前年度に比べて5.9%も上昇し、過去最高の3億4千万トン(炭素換算)を越えたことが最近の環境庁の調査結果で明らかになり、問題の重大さが再認識されるとともに、CO2の削減技術の確立が急務となっている。一方、本研究代表者らが国内の油田から分離したCO2固定型石油合成・分解細菌(HD-1株)は、嫌気的条件下で石油を分解するだけでなく逆にCO2とH2から石油主成分や機能性脂質類(バイオサーファクタント)を生産することができるユニークな菌であり、CO2固定技術確立への貢献が有望視されている。
本研究はHD-1株を始め、各地油田に分布する新しいCO2固定細菌を探索し、その代謝能力(CO2固定や石油あるいはバイオサーファクタント合成経路)を解析するとともに、遺伝子工学や触媒抗体の技術を駆使してこれらを強化利用することにより、CO2を多量に含む種々の燃焼ガスや廃食用油を燃料資源あるいは農薬・土壌活性剤などの高付加価値物質として再資源化するシステムを構築するものである。また、反対にこれらの菌の石油分解活性を活用して、座礁事故などによりタンカーから漏出した原油による海産物被害を低減することも目指す。
このように本研究は、微生物を用いた地球環境(大気圏、水圏、陸圏)の同時修復技術の確立のための基礎研究である。

研究のイメージ

CO2固定細菌を利用した地球環境修復システムの構築