生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1996年度 採択された研究課題

森林生態系における共生関係の解明と共生機能の高度利用のための基礎研究

研究代表者氏名及び所属

鈴木 和夫(東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成8年度~12年度

研究の趣旨・概要

近年問題化している森林衰退現象、松くい虫被害の拡大、今後予想される温暖化、砂漠化などの地球規模での環境変動に対して、物質生産機能や環境保全機能を高度に発揮する森林機能の高度化を図ることが重要な課題となっている。なかでも、現在北半球で最も重要な森林・林業樹種であり、また環境資源でもあるマツ林の多面的な機能の解析とその活用が急がれている。
このため本研究では、(1)森林生態系の維持機構における植物、動物、微生物など生物相互の共生関係を環境傾度に応じて設定したフィールド調査で解明するとともに、(2)特に重要な役割を果たしている菌根菌との共生がリン酸など土壌養分吸収に及ぼす影響を人工気象条件下で分子生物学的な手法などにより解析し、さらには、(3)これらの知見に基づき森林における共生関係、とくに外生菌根菌を利用したマツ林の環境ストレス耐性機能の向上によって松くい虫被害を受け衰退したマツ林の再生・育成手法を開発するとともに、マツ林の外生菌根菌であるマツタケやアミタケなど菌根性キノコの栽培・培養技術を向上させるための基礎的知見を得る。

研究のイメージ

森林生態系における共生関係の解明と共生機能の高度利用のための基礎研究