生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1996年度 採択された研究課題

無脊椎動物を利用したヒト病態の解析と病態モデル動物開発の基礎研究

研究代表者及び所属

鈴木 利治(東京大学薬学部)

研究実施期間

平成8年度~12年度

研究の趣旨・概要

本研究は、ヒトの長寿化現象と共に社会的な問題となりつつある老人性痴呆症等の神経疾患に対する病態解析を行う上で、病気の原因究明の障害となっている問題点を無脊椎動物の生体システム(主にショウジョウバエとナメクジ)を用いてブレイクスルーし、痴呆症の病態解析の進展に貢献すると共に、無脊椎動物に生体システムを利用した病態モデル実験動物の開発に資する事を目的とする。
本研究は主に以下の2つの分野より構成される。
(1)ショウジョウバエを用いた老人性痴呆症の病態解析および病態モデルの創出
老人性痴呆症の一種であるアルツハイマー症のように、遺伝学的な解析から病態関連遺伝子は同定されているが、その生理機能が不明なため病態解析研究が充分に進展していない研究を取り上げる。ヒト病態関連遺伝子もしくはそのホモログ遺伝子や、これらを改変した遺伝子をショウジョウバエに導入し、分子遺伝学的、生化学的、行動学的解析からその生理機能を解析し、ホ乳類システムを用いた解析とあわせて病態関連遺伝子の機能を解明する。
(2)ナメクジを用いた記憶形成・記憶喪失機構の解析および in vitro 病態モデルの開発
神経機能の比較的単純なナメクジの単離脳を用いて、匂い一味連合学習系の神経経路の解析と記憶形成に関与する遺伝子の解析を行うことで、記憶形成・記憶維持機構の解析、およびin vitro病態モデルの開発研究を行う。また、これらが、ホ乳類動物のシステムと共通性を持つかどうかに関する相関研究も行う。

研究のイメージ

無脊椎動物を利用したヒト病態の解析と病態モデル動物開発の基礎研究