生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

イネのミュ-タントパネルを用いた遺伝子機能の系統的解析技術の開発と利用

総括研究代表者氏名及び所属

廣近 洋彦 (農林水産省農業生物資源研究所)

研究実施期間

平成9年度~13年度(5年間)

研究の趣旨・概要

現在、わが国の基幹作物であるイネの遺伝子配列の解析が急速な勢いで進められており、すでに1万5千種類以上の遺伝子の部分配列が明らかにされているが、これらの遺伝子は、その生物機能が未解明であるため、ほとんど利用されていない。このため、イネの遺伝子の有効利用を図るためには、その機能の系統的解析技術の開発が必須となっている。
最近、総括研究代表者らは、世界で初めて転移活性のあるイネのトランスポゾン(レトロトランスポゾン)を単離し、このトランスポゾンによる遺伝子破壊が遺伝子機能解析に有効に利用できることを示した。本トランスポゾンを利用した遺伝子破壊法は、一度に多数の遺伝子を破壊し、機能解析に供することができるという大きな特徴を備えている。このため、数年でイネの全遺伝子を対象に、各遺伝子を個々に破壊した変異系統群(ミュ-タントパネル)を作出することが可能である。
本研究では、このトランスポゾンを用いて、イネのミュ-タントパネルを作出し、イネゲノム研究によって構造の明らかにされた大量の遺伝子の機能を効率的に解析するためのシステムを開発するとともに、このシステムを用いて遺伝子の機能解明を系統的に行う。これにより、機能の明らかとなったイネ遺伝子を活用してイネのもつ潜在的機能を最大限に利用することが可能となり、今後予想される食料問題や環境問題に大きく貢献できるものと期待される。

研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)

  • ミュ-タントパネルの作出と遺伝子機能の系統的解析技術の開発
    (農林水産省農業生物資源研究所 廣近 洋彦)
  • 破壊遺伝子の効率的解析技術の開発
    ((社)農林水産先端技術産業振興センター農林水産先端技術研究所 宋 健瑜)

研究のイメージ

イネのミュ-タントパネルを用いた遺伝子機能の系統的解析技術の開発と利用