生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

金属タンパク質の界面電子移動制御と生物機能の高度利用

研究代表者氏名及び所属

谷口 功 (熊本大学工学部)

研究予定期間

平成9年度~平成13年度(5年間)

研究の要旨・概要

生体内や自然界には、チトクロムCやフェレドキシンをはじめとする様々な金属タンパク質(金属イオンを包含するタンパク質)が存在するが、これら金属タンパク質は、電子移動(他の物質との電子の受け渡し)により、生体内で生命維持や物質生産のための触媒、物質運搬、情報伝達等の様々な機能を発現している。一方、研究代表者らは、生体内の金属タンパク質等の機能分子と対話(電気化学的に応答)が可能な機能電極の開発を進めてきている。
本研究では、生体内の機能分子と応答可能な種々の機能電極をさらに開発するとともに、機能電極を用いて生体内の金属タンパク質の電子移動反応を自在に操る技術を基に、1生体内の金属タンパク質の触媒機能等の発現メカニズムの解明、2植物の光合成反応回路の一部を人工的に実現する系の構築による、安全かつ省エネルギーにアミノ酸等の食品素材を合成する技術の開発、3機能電極のNO、 NAD(P)H検出素子としての応用による、新しい食品の品質評価・管理、食品保存技術の基礎の確立、さらには、4非破壊分光法による機能電極表面の加工状態の評価技術を応用した新しい非破壊食品品質評価技術の開発などを行う。
これにより、金属タンパク質に係る生物の本質的な機能の解明が進むとともに、これまでにない電気化学的な視点での食品産業関連技術の高度化等が期待される。

研究項目及び実施体制(( )は研究担当責任者)

  • 機能電極を用いた金属タンパク質などの生体分子の機能解析と新規人工機能分子の創製に関する研究
    (熊本大学工学部 谷口 功)
  • 生物電気化学法による環境調和型人工光合成系の構築に関する研究
    (熊本大学工学部 西山勝彦)
  • 食品管理・非破壊品質評価のための情報変換素子の開発と食品科学の高度化に関する研究
    (熊本大学工学部 伊原博隆)

研究のイメージ

金属タンパク質の界面電子移動制御と生物機能の高度利用