生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

消化管機能の分子生物学的解析と計画的食品設計

総括研究代表者氏名及び所属

野口 忠 (東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成9年度~13年度(5年間)

研究の要旨・概要

食品が生体と最初に接触する場である消化管は、消化・吸収器官であるのみならず、アミノ酸をはじめ多くの物質を活発に代謝する物質代謝器官であり、多くの消化管ホルモン等を分泌する内分泌器官であり、粘膜表面に免疫抗体IgAが分布するなど最大の免疫器官でもある。さらには、小さな脳といわれるほど神経系による機能制御の発達した器官であるとともに、微生物との壮大な共生の場でもある。 本研究は、このような消化管機能を分子レベルで統合的に解析し、それを基盤に、高齢者や成長期の子供など様々な生理的状態の人に適した食品を計画的に設計することを目的とする。具体的には、ホルモンやニューロトランスミッターのレセプター、栄養素のトランスポーター、免疫系のサイトカイン、T細胞のレセプター等を分子生物学的に解析するとともに、これらのレセプターやトランスポーターと相互作用を示す食品由来の物質を探索・構造決定し、消化管機能に影響を及ぼす新物質の合成等を試みる。 本研究の成果は、身体の機能解析に合わせて食品・食生活を設計する技術の基礎となるとともに、国民の健康の維持・増進に資するための食品・農産物の生産・保蔵・加工のあり方を明らかにするものと期待される。

研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)

  • 消化管の諸機能の制御を意図した食品設計の基盤解析
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 野口 忠)
  • 消化管の神経機能の制御を意図した食品設計の基盤解析
    (京都大学大学院農学研究科 佐々木 隆造)
  • 消化管の代謝機能の制御を意図した食品設計の基盤解析
    (東京学芸大学教育学部 渡辺 道子)

研究のイメージ

消化管機能の分子生物学的解析と計画的食品設計