生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

新規脱窒菌を用いたN2O抑止型好気脱窒システムの構築と水処理への応用

研究代表者氏名及び所属

祥雲 弘文 (筑波大学応用生物化学系)

研究実施期間

平成9年度~13年度(5年間)

研究の趣旨・概要

近年、生活廃水、農畜産業廃水の窒素による水圏の汚染が進み、その脱窒処理の重要性が高まっている。しかし、現在の脱窒技術には、本来窒素ガス(N2)を生成する脱窒細菌を用いた場合でも、地球温暖化とオゾン層破壊をもたらす亜酸化窒素ガス(N2O)が副産物として生じるという問題がある。この原因としては、現在の実用技術のレベルでは脱窒細菌が要求する嫌気性(酸素の除去)の達成が困難なことが挙げられ、このため、嫌気性要求度の低い好気的脱窒システムの開発が望まれている。こうした中、研究代表者らはカビ、放線菌など従来好気的生物と考えられていた微生物に脱窒能を有するものを発見し、新たな好気的脱窒システム構築の可能性を見出した。
本研究では、カビ、放線菌なども対象として、さらに優秀な脱窒菌の探索を行うとともに、好気的条件下で脱窒を行うもののN2Oを発生させる新脱窒菌と嫌気的条件下ではすべてN2ガスに還元できる従来の脱窒細菌の長所を遺伝子工学、複合培養などの手法により融合させ、新たな、N2O抑止型好気的脱窒システムを構築することを目指す。さらに、これらの知見を基に菌体の固定化、バイオリアクターの構築等の技術開発を行うことにより、農畜産業廃水処理や農村集落廃水等の生活廃水の浄化技術、バイオレメディエーションへの応用を検討する。

研究項目及び実施体制 (( )は研究担当責任者)

  • 新規の好気的脱窒菌の検索
    (筑波大学応用生物化学系 祥雲弘文)
  • 遺伝子組み換えによる育種
    (筑波大学応用生物化学系 高谷直樹)
  • 複合培養系の検討
    (筑波大学応用生物化学系 祥雲弘文)
  • 脱窒菌の固定化・バイオリアクター構築
    (筑波大学応用生物化学系 祥雲弘文)
  • 水処理への実用化試験研究
    (筑波大学応用生物化学系 松村正利)
  • 養魚場での実用化試験研究
    (筑波大学応用生物化学系 松村正利)

研究のイメージ

新規脱窒菌を用いたN2O抑止型好気脱窒システムの構築と水処理への応用