生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

スギのゲノム解析とその高度利用に関する基礎的研究

総括研究代表者氏名及び所属

長坂 壽俊 (農林水産省林野庁森林総合研究所)

研究実施期間

平成9年度~13年度(5年間)

研究の趣旨・概要

林木は、農作物に比べて長い世代サイクルを持ち、選抜や検定に長期を要しているが、優れた品種を効率的に育成するためには、新しい育種技術による育種年限の大幅な短縮や、育種素材の供給源である森林の多様な遺伝資源の合理的な保全方法の確立が求められている。
林木のゲノム解析研究は、これらの課題を遺伝子レベルで解決するための基盤となるものであるが、現在、特に、日本固有の種であり、最も重要な造林樹種であるスギについて、その成長量や材質の改良、花粉症対策などの課題の解決のため、ゲノム解析に基づく育種技術の向上が強く求められている。
本研究は、このようなスギを対象として、DNA多型マーカーの構築を通してスギゲノムの連鎖解析を行い、連鎖群と染色体との対応関係を明らかにしつつ、高密度な基盤遺伝子地図の構築を行うとともに、この基盤遺伝子地図の活用により、材質、環境ストレス耐性、雄性不稔等に関与する遺伝子の構造及び機能の解析を行う。
本研究で得られる成果は、スギ育種の高度化、花粉症等の問題の解決、失われつつある森林資源の効果的な遺伝的管理手法の構築を可能とし、わが国の林業の活性化に貢献するものと期待される。

研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)

  • スギゲノム上の遺伝マーカーの開発と高密度基盤連鎖地図の確立
    (農林水産省林野庁森林総合研究所 津村 義彦)
  • in situハイブリダイゼーション及びトリソミー系統を用いた染色体と連鎖群との対応
    (愛媛大学教育学部 日詰 雅博)
  • スギ材質関連遺伝子のQTL解析
    (農林水産省林野庁林木育種センター 近藤 禎二)
  • スギ雄性不稔遺伝子のマッピング解析
    (新潟大学大学院自然科学系 平 英彰)
  • 環境ストレスがスギの遺伝子発現及び遺伝的多様性に与える影響の解析
    (静岡大学農学部 向井 譲)
  • スギゲノム上の遺伝子マーカーのシーケンス情報に基づく分子進化学的解析
    (九州大学理学部 舘田 英典)

研究のイメージ

スギのゲノム解析とその高度利用に関する基礎的研究