生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

超単分散性マイクロスフィアを用いた新規な分離場および反応場の構築に関する基礎研究

研究代表者氏名及び所属

中嶋 光敏 (農林水産省食品総合研究所)

研究実施期間

平成9年度~13年度(5年間)

研究の趣旨・概要

マイクロスフィア(MS:液体に細粒状に分散した不溶液体の微粒子)は、食品、医薬品、化成品などに使用されているが、その微粒子のサイズが均一でないため安定性が低く、利用が限定されている。
本研究では、MSの超単分散性を実現し、その安定性を飛躍的に高めることを目標として、超精密加工技術(フォトプロセスあるいは電子線プロセス)により半導体用シリコンチップを加工し、サブミクロンから数十ミクロンの範囲で、油中水滴(W/O)MS、O/W-MS等のサイズを精密にコントロールしうるマイクロチャネル(MC)を設計・製作するとともに、その利用によるMS作成技術の確立を図る。また、顕微ビデオシステム、光散乱、蛍光分析、小角X線散乱、NMR等を用いて、単分散性、安定性、微細構造と機能発現の関係等のMS特性を解明する。
さらに、油脂をエタノールなどの低粘性の有機溶媒へ分散させることより、低粘性化させたO/O-MSを作成する技術の開発や、カテキン、カロテン等の機能性成分を安定化させるために超単分散性MSに内包化する技術の開発等新規な分離場-反応場の構築により、MSの新たな用途開拓を目指す。
本研究により創出される高安定性の超単分散性MSは、機能性成分の長期間保持、DDS(薬理成分到達法)の実用化等MSの食品・医薬品等の分野での新規用途開発をもたらすことから、新たにバイオMS産業の創出、農林水産業の活性化につながるものと期待される。

研究項目及び実施体制(( )は研究担当責任者)

  • 超単分散性MSの作成
    (農林水産省食品総合研究所 中嶋 光敏)
  • MCを用いたMS作成技術の開発
    (農林水産省食品総合研究所 菊池 祐二)
  • MSの特性解明
    (農林水産省食品総合研究所 佐野 洋)
  • アルコール中油滴(O/O)MSの開発
    (農林水産省食品総合研究所 鷹尾 宏之進)
  • 機能性MSの開発
    (農林水産省食品総合研究所 中嶋 光敏)

研究のイメージ

超単分散性マイクロスフィアを用いた新規な分離場および反応場の構築に関する基礎研究