研究代表者氏名及び所属
中村 義一 (東京大学医科学研究所)
研究実施期間
平成9年度~13年度(5年間)
研究の趣旨・概要
擬態は、昆虫や魚などマクロの世界でよく知られるが、ミクロ(分子)の世界にも存在する。研究代表者らは、タンパク質合成(翻訳)の終結機構を研究する過程で、一群のタンパク質が核酸であるtRNAの形、働きを擬態する現象を発見し、分子擬態と命名した。
本研究では、生物の基本的な機能である「遺伝情報の翻訳・タンパク質合成」の過程において、この分子擬態がどのような役割を果たしているかを分子レベルで解明するとともに、この現象を人為的に制御・利用する技術を開発する。これらの研究により、タンパク質合成という基本的な生命現象を明らかにすることができるとともに、新しいタンパク質合成手法の開発等次世代バイオテクノロジーの基盤となる手法・技術の確立につながるものと期待される。
一方、研究代表者らは、酵母において、翻訳の調節に狂牛病・痴呆症の病因となる感染性・遺伝性のタンパク質であるプリオンが関与しており、このプリオンが、tRNA擬態タンパク質と共に働いていることを見い出したが、本研究では、この酵母プリオンの基本特性の解明にも取り組み、プリオン病の診断・予防技術の開発等、畜産・医学などへの応用を目指す。
研究項目及び実施体制(( )は研究担当責任者)
- 翻訳終結に関する分子生物学
(東京大学医科学研究所 中村 義一) - 分子擬態に関する構造生物学
(東京大学医科学研究所 中村 義一) - プリオンに関する酵母遺伝学
(東京大学医科学研究所 中村 義一) - 分子擬態を応用した分子工学
(東京大学医科学研究所 中村 義一)