生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1997年度 採択された研究課題

モノネガウイルス・レプリコン系の開発と応用

総括研究代表者氏名及び所属

甲斐 知恵子 (東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成9年度~13年度(5年間)

研究の趣旨・概要

モノネガウイルスファミリー(1本鎖マイナスRNAをもつウイルス)には、牛流行熱、ニューカッスル病、狂犬病、犬ジステンパー、エボラ出血熱など家畜や人の多くの重要なウイルスが属している。このウイルスのリバースジェネティクス(遺伝子からのウイルス複製系)の確立は手法が困難で、長い間の課題であった。
本研究では、犬ジステンパーウイルスを対象として、モノネガウイルスの複製系(レプリコン系)を開発し、これまで不可能であった優良なリバースジェネティクスを確立する。この複製系を用いて、遺伝子を改変することにより、これまで困難であった同ウイルスの病原性機構や増殖機構を解明する。さらに、得られた知見と複製系を用いた分子設計によって、全く新しい人工的弱毒化ワクチンやベクターウイルスなどの開発を行う。
また、同じくモノネガウイルスの1つであるセンダイウイルスを用いて、その遺伝子挿入部位、発現調節機構を解析し、優れた大量発現ベクター系としての分子基盤を解明する。これにより、有用遺伝子を発現させ、有用タンパク(インターフェロンなどのサイトカインやワクチンなど)を多量に産生する系の確立とその実用化を目指す。
本研究により得られる新型ワクチンや扱いやすいベクターワクチン等は、動物の多くの病気の予防に多大に貢献すると期待されるとともに、生物活性を持つ有用タンパクを安価に産生できる発現系は、医薬品や免疫賦与剤の大量生産に応用できることから、畜産業等の発展に資することが期待される。

研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)

  • モノネガウイルス・レプリコン系の開発と応用
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 甲斐 知恵子)
  • センダイウイルスベクターを用いた有用物質生産系の開発
    (東京大学医科学研究所 加藤 篤)

研究のイメージ

モノネガウイルス・レプリコン系の開発と応用