生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 採択された研究課題

作物耐暑性の生理・遺伝学的解明と耐性作物の開発

総括研究代表者氏名及び所属

江川 宜伸(農林水産省国際農林水産業研究センター)

研究実施期間

平成10年度~14年度(5年間)

研究の趣旨・概要

生育適温を上回る高温は、作物に不稔や生育障害などを引き起こす。高温障害は、熱帯・亜熱帯地域において低生産性の要因のひとつであり、今後地球温暖化にともないより深刻化すると考えられ、耐暑性作物の開発が望まれている。
本研究は、高温障害発生のメカニズムを生理学的・遺伝学的に解析し、耐暑性作物を開発することを目的とする。すなわち、耐暑性作物と感受性作物では何が異なるのかを明らかにするとともに、耐暑性に関与する形質(グリシンベタイン合成能、活性酸素消去能、アセチルコリン分解酵素など)の遺伝子を作物に導入し、耐暑性品種を作出する。作物の生殖生長は栄養生長より高温に感受性があるので、サヤインゲンを用い、耐暑性がどのような生理機構によるのか解析する。また耐暑性が弱い系統との交雑により耐暑性の遺伝的解析を行い育種利用に資する。
以上の分析を通じた耐暑性作物の開発により、熱帯・亜熱帯地域で安定した作物生産を可能にし、21世紀の地球温暖化や人口増加に対応した食糧の持続的安定生産に寄与する。

研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)

  • 作物の生殖生長期における耐暑性の生理学的および遺伝学的解明
    (農林水産省国際農林水産業研究センター 江川 宜伸)
  • 耐暑性に関与する遺伝子の作物への導入とその組換え体の解析
    (名古屋大学生物分子応答研究センター 高倍 鉄子)
  • ミトコンドリアの機能改良による耐暑性作物の作出に関する研究
    (琉球大学理学部 山崎 秀雄)
  • アセチルコリンエステラーゼの機能解析とその遺伝子の導入による作物の耐暑性の向上
    (東京農業大学生物産業学部 桃木 芳枝)

研究のイメージ

作物耐暑性の生理・遺伝学的解明と耐性作物の開発