研究代表者氏名及び所属
野々村 賢一(国立遺伝学研究所実験圃場)
研究実施期間
平成11年度~15年度
研究の趣旨・概要
世界の人口爆発による食糧不足への対応、健康の維持増産に役立つ作物の開発のため、植物育種の重要性は今後益々高まってくると考えられる。そこで本課題ではイネを素材として、外来遺伝子導入と従来の人工交配の両分野において新たな育種法の開発を目指す。1)穀類人工染色体の構築
穀類の染色体として機能するために必須な因子を人工的に組み込んだDNAを、穀類の細胞に導入し、実際に染色体として機能するかどうかを検討する。人工染色体を遺伝子導入に用いる利点として、導入する有用遺伝子の働きを最大限発揮するためのデザインが従来の方法よりも簡単にできることがあげられる。2)人工交配による野生イネ有用遺伝子の栽培イネへの導入法の確立
野生イネは耐病性や耐虫性などの農業形質を含む重要な遺伝子資源であるが、野生イネと栽培イネの交配では染色体構造の違いを認識する機構が働くために遺伝子交換がなされず、野生イネの遺伝子を導入できない。そこでこの認識機構を制御している遺伝子群を破壊した突然変異体を用いて、野生イネと栽培イネの染色体間で遺伝子交換の促進を図り、育種に応用することを目指す。
新たな育種法の開発を目指したこのプロジェクトは、実用的な利用にとどまらず染色体の機能に関する新しい知見をも提供し得るものと期待される。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 穀類人工染色体の構築
(国立遺伝学研究所実験圃場 野々村 賢一) - 人工交配による野生イネ有用遺伝子の栽培イネへの導入法の確立
(国立遺伝学研究所実験圃場 野々村 賢一)