生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1999年度 採択された研究課題

ミツバチの脳機能に働く遺伝子を利用した新品種開発等に関する基礎的研究

研究代表者氏名及び所属

久保 健雄(東京大学大学院薬学系研究科)

研究実施期間

平成11年度~15年度

研究の趣旨・概要

ミツバチは社会性昆虫であり、女王蜂は産卵、働き蜂は育児や採餌、敵の攻撃というように、それぞれの個体が固有の本能行動を示す。また、働き蜂はダンス言語(記号的コミュニケーション)により、記憶した花の位置を仲間に教えるという、他の昆虫には見られない特徴的な行動を行う。一方で、ミツバチは、ハチミツの生産やポリネーター(花粉媒介昆虫)として利用され、産業的にも高い価値を持つが、刺害を恐れて利用が制限されており、その有用性は十分に活用されていない。
本研究では、このような優れた脳機能や産業的価値を有するミツバチの一層の有効利用を図るため、ミツバチの脳の高次中枢(キノコ体)で発現し、本能行動を規定する新規な遺伝子の同定・解析を行うとともに、遺伝子導入等の技術により、攻撃性が低く、記憶・学習能力が優れたミツバチの作出を試み、刺害がなく、採蜜効率や花粉媒介能力の優れた新品種の開発を目指す。
併せて、これらのミツバチの本能行動を規定する遺伝子や関連する知見を、広く生物学や医学の分野にも応用するため、哺乳類でのホモログ(相同遺伝子)の検索・解析等を行って、哺乳類の行動の遺伝子レベルでの理解や行動異常の原因解明につなげることを検討する。

研究項目及び研究体制(()は研究担当者)

  • ミツバチ脳で領野や行動特異的に発現する遺伝子とその哺乳類ホモログに関する研究
    (東京大学大学院薬学系研究科 竹内 秀明)
  • ミツバチへの遺伝子導入と遺伝子組換え型ミツバチの新品種開発に関する研究
    (東京大学大学院薬学系研究科 久保 健雄)

研究のイメージ

ミツバチの脳機能に働く遺伝子を利用した新品種開発等に関する基礎的研究