生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1999年度 採択された研究課題

味覚応答の発現機序の解明

総括研究代表者氏名及び所属

日野 明寛(農林水産省食品総合研究所)

研究実施期間

平成11年度~15年度(5年間)

研究の趣旨・概要

味覚情報は、栄養物の認識だけでなく消化液の分泌調節などに関与することで、生体のホメオスタシス(恒常性)の維持に貢献している。しかしながら、味の受容から中枢神経系を介した生理機能の調節に至るまでの研究は未だ試行錯誤状態といえる。また、味覚機能の分子レベルの解析が進みつつあるが、得られた分子と味覚との直接的な関係を明らかにするのは難しい状況にあるとともに、味神経応答については、現象に関する研究が中心となっている。 本研究の目標は、「味物質の受容から脳神経系へ至る情報伝達機構」と「味覚情報による中枢神経系を介した生理機能調節」の解明である。マウスにおける特定の物質に対する味神経応答の差異や変化に着目し、その原因となっている分子を解析することで、特定の味覚情報伝達に関与するレセプターあるいは味細胞-神経線維間の相互作用に関与する遺伝子の取得を目指す。また、味刺激によるだ液の特定成分の誘導現象を中心にして、味覚による生理機能調節の解析を行う。

これにより、他の感覚研究分野等との融合によるおいしさの計測技術の開発や、生理機能を向上させる食品の開発技術の発展等に資することを目的とする。

研究項目及び実施体制(()は研究代表者)

  • 食の機能性向上のための味覚情報の伝達・認知機構に関する分子生物学的研究
    (農林水産省食品総合研究所 日野明寛)
  • 遺伝的変異マウスを利用した味覚情報の伝達・認知機構の生理・生化学的及び行動学的研究
    (朝日大学歯学部 二ノ宮裕三)

研究のイメージ

味覚応答の発現機序の解明