生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 採択された研究課題

植物ホルモン情報伝達の分子機構解明による植物機能改変 「形態形成の人為的コントロールを目指して」

総括研究代表者氏名及び所属

小松 節子(農林水産省農業生物資源研究所)

研究実施期間

平成12年度~16年度(5年間)

研究の趣旨・概要

緑の革命の成功でも明らかなように、イネ科主要作物の草型制御は収量増産を考える際の重要な形質であり、作物の草丈制御、特に短稈化は、古くから育種における最大目標の一つであった。イネの草型制御にはジベレリンやブラシノステロイドが関与していると考えられているが、その分子機構についてはほとんど解明されていない。
本研究では、近年モデル植物としてゲノム研究進展が著しいイネを材料とし、種子発芽、茎葉伸長、花芽形成等イネの本質的な生活環の調節に大きく関与している、ジベレリンやブラシノステロイド等の植物ホルモンの情報伝達の分子機構を解明する。植物ホルモン突然変異イネや植物ホルモン処理イネを利用して、植物ホルモンの多面的効果の分子遺伝学的・タンパク質化学的解析により、組織・時期特異的な形態形成の詳細な機構の調整が可能となる。
さらに、解析した植物ホルモン情報伝達系を制御遺伝子導入により人為的に制御することにより、従来の育種では限界があった受光態勢が良く、短稈で耐倒伏性、少げつ、高登熟性で穂重型であり、原品種の備えている良食味・耐病性を損なうことのない、健全次世代型多収性イネの素材を開発する。このような技術開発は、世界の食糧増産に向けて波及効果が期待される。

研究項目及び実施体制(( )内は研究代表者)

  • イネの草型を制御する植物ホルモン情報伝達の分子機構解明と育種への応用
    (農林水産省農業生物資源研究所 小松節子)
  • イネ矮化遺伝子の単離と機能解析及び草型育種への応用
    (名古屋大学大学院生命農学研究科 北野英己)

研究のイメージ

植物ホルモン情報伝達の分子機構解明による植物機能改変