生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 採択された研究課題

生体関連触媒を用いる植物資源からの高分子新素材の創出

研究代表者氏名及び所属

宇山 浩(京都大学大学院工学研究科)

研究実施期間

平成12年度~16年度(5年間)

研究の趣旨・概要

石油から製造されるプラスティックの廃棄による環境汚染の抜本的対策として、天然資源からの、生分解性を期待できる汎用高分子材料の開発が望まれており、ポリエチレン等の安価な高分子の代用品に関する研究の方向性は「脱石油」に向けられている。植物由来の代表的な天然資源としてセルロース、リグニン、ポリペプチド、油脂等が挙げられるが、何れも素材としての用途開発が進んでおらず、革新的な技術開発が切望されている。
本研究では植物資源を基質とする生体関連触媒(酵素及び酵素モデル錯体)を用いた新規な高分子合成法を開発し、植物資源由来の実用的新素材を試作する。具体的には酸化還元酵素あるいはそのモデル錯体を用いる酸化カップリングを利用したセルロース-リグニンハイブリッドとポリペプチド-リグニンハイブリッドの合成を検討する。前者は人工木質ポリマーとして位置付けられ、地球環境に優しい新材料となる。また、植物油脂からの環境調和型硬化システムの開発を行う。大豆油等に含まれる不飽和基を利用し、リパーゼを前駆体オリゴマー合成に用いる。本ポリマーは有機溶剤を含まず、生分解性を有することから次世代の環境調和型塗料として有望である。
本研究に関与する全ての物質は自然界の物質循環に組み込まれるプロセスであり、新世紀に向けて物質生産の方向性を示す基礎研究である。

研究項目及べ実施体制(( )内は研究担当者)

  • 人工木質ポリマーに関する研究
    (京都大学大学院工学研究科 宇山 浩)
  • ポリペプチド-ポリフェノールハイブリッドに関する研究
    (京都大学大学院工学研究科 宇山 浩)
  • 植物油脂からの硬化性ポリマー合成に関する研究
    (京都大学大学院工学研究科 大前 仁)

研究のイメージ

生体関連触媒を用いる植物資源からの高分子新素材の創出