生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 採択された研究課題

ダイオキシン類の微生物分解系を用いた環境修復のための基盤研究

総括研究代表者氏名及び所属

大森 俊雄(東京大学生物生産工学研究センター)

研究実施期間

平成12年度~16年度(5年間)

研究の趣旨・概要

本研究では、ダイオキシン類を難分解性環境汚染物質のモデル化合物とし、微生物を用いた分解除去技術開発ための基礎研究を行う。具体的には、これまでに単離した数種のダイオキシン分解細菌が生産するダイオキシン分解系酵素の立体構造を明らかにして分解反応のメカニズムを解明するとともに、その結果に基づいたコンピュータ分子モデリング等により、分解活性を強化した改変酵素を創製する。
また、ダイオキシン分解系酵素遺伝子は異種の微生物間で比較的容易に転移することが明らかにされている。そこで、このような遺伝子転移のメカニズムについても解明し、自然界で起こる遺伝子転移を人為的に制御する技術を確立する。これを用いて、汚染土壌、下水などで生息する微生物集団内でのダイオキシン分解微生物の割合を増やすことで、ダイオキシン分解力を増強する。
以上の2つの研究を柱に、21世紀において期待される、低コスト・省エネルギー型の環境修復技術を開発する。本研究により得られる成果は、農耕地のダイオキシン汚染の低減に役立つ他、廃水処理や汚染浄化を手がける環境産業に多大の波及効果が予想される。

研究項目及び実施体制(( )内は研究代表者)

  • ダイオキシン・ジベンゾフラン分解系酵素の機能構造解析と遺伝子伝播機構の解明
    (東京大学生物生産工学研究センター 大森俊雄)
  • コプラナーポリ塩化ビフェニル (Co-PCBs) 分解系酵素の機能構造解析とダイオキシン類分解系酵素の分子モデリング
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 若木高善)

研究イメージ

ダイオキシン類の微生物分解系を用いた環境修復のための基盤研究