生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 採択された研究課題

ニワトリモノクローナル抗体の作成技術・実用化技術の開発に関する研究

研究代表者氏名及び所属

松田 治男(広島大学生物生産学部)

研究実施期間

平成12年度~16年度(5年間)

研究の趣旨・概要

動物体内に入った異物ともいえる抗原に対して特異的に反応し、その働きを押さえる機能を持つ抗体のうち、抗体分子が完全に均一である「モノクローナル抗体」は、抗原に対して極めて高い特異性を有している。このため、試薬としての有用性が高く、現在、ヒトや家畜の各種疾病等に対する診断薬・検査薬等として利用され多くの効果を上げているが、その高い有用性から、今後も医学、獣医学等の分野を中心に広範な利用が期待されている。
しかしながら、現在使われているモノクローナル抗体は、専らマウスやラットの哺乳動物から作られているため、哺乳動物間で共通してみられる抗原分子(例えば哺乳動物間で共通してみられる病原体のプリオンタンパク)のように、哺乳動物では抗体作成が困難な抗原に対しては、モノクローナル抗体の作成に制約を受けている。
一方、ニワトリは、哺乳動物とは系統発生的に大きな差があるため、マウス等の哺乳動物では作りにくい抗体の作成が可能である等の幾つかの優れた特性を有している。
そこで、本研究では、今後におけるモノクローナル抗体のより円滑な生産と有効利用に資するため、ニワトリの優位性を生かして、従来の哺乳動物のモノクロナール抗体より優れた「ニワトリモノクロナール抗体」の作成技術の開発、構造解析による新規利用の検討等を行うとともに、その実用化に必要な技術的基盤を構築することを目指す。

研究項目及び研究体制(( )内は研究担当者)

  • 細胞融合によるニワトリモノクローナル抗体の作成技術の開発
    (広島大学生物生産学部 松田治男)
  • 組替えニワトリモノクローナル抗体の作成技術の開発
    (広島大学生物生産学部 松田治男)
  • ニワトリモノクローナル抗体の糖鎖構造解析による新規利用の検討
    (広島大学生物生産学部 西村敏英)
  • ニワトリモノクローナル抗体の実用化技術の構築
    (広島大学生物生産学部 古澤修一)

研究のイメージ

ニワトリモノクローナル抗体の作成技術・実用化技術の開発に関する研究