生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 採択された研究課題

葉緑体の増殖制御技術の開発と応用に関する先導的研究

総括研究代表者氏名及び所属

黒岩 常祥(東京大学大学院理学系研究科)

研究実施期間

平成12年度~16年度(5年間)

研究の趣旨・概要

植物は進化の過程を通じて、細胞内での葉緑体数の増加によって光合成機能の増強を図ってきた。大気中の炭酸ガス濃度の増大による地球温暖化や来るべき食料問題に対応するためには、葉緑体の増殖を遺伝子レベルで制御し、植物(極限環境藻類、海洋藻類、陸上植物など)の光合成機能の向上を図ることが求められている。
本研究は、高温、強酸性下で棲息する紅藻やマラリア原虫類で葉緑体(色素体)の分裂装置を世界で初めて発見した実績を踏まえて、葉緑体の増殖制御機構を解明しようとするものである。
最新の分子系統解析によって、葉緑体は原核生物のシアノバクテリアが細胞内共生することによって誕生したことが明らかとなっており、葉緑体分裂装置における二つのリングの形成には、外側は宿主側(真核生物)の細胞核遺伝子、内側は共生側(原核生物)の遺伝子が働いている可能性が高い。そこで、本研究では、葉緑体の増殖制御機構を、原核型と真核型双方の遺伝子制御の視点から解明する。
以上の研究を基盤に、本研究の成果を21世紀における環境及び食料問題の解決、並びにマラリア撲滅に応用することが期待される。

研究項目及び実施体制(( )内は研究代表者)

  • 極限環境藻類の葉緑体増殖制御とマイクロレーザーによる遺伝子導入技術の開発
    (東京大学大学院理学系研究科 黒岩常祥)
  • 海洋藻類の原核型及び真核型葉緑体分裂遺伝子の探索と遺伝子導入による葉緑体増殖制御技術の開発と応用
    (東京大学大学院新領域創成科学研究科 河野重行)
  • 陸上植物の葉緑体増殖制御技術の開発と遺伝子破壊による葉緑体分裂関連遺伝子の機能解析
    (熊本大学理学部 高野博嘉)

研究イメージ

葉緑体の増殖制御技術の開発と応用に関する先導的研究