研究代表者氏名及び所属
村田 幸作(京都大学大学院農学研究科)
研究実施期間
平成13年度~平成17年度(5年間)
研究の趣旨・概要
現在、様々な生物・非生物起源の有害廃棄物による環境汚染が拡大し、健康への直接・間接的影響が避け難くなって来ている。そのため、環境と調和した効率の良い環境浄化・再生の方法が求められている。
本研究は、巨大物質を細胞表層に形成した孔から直接呑み込み、細胞内で分解する優れた能力を持つ「体腔」形成細菌を微生物学の歴史の中で初めて発見した実績を踏まえて、環境浄化・再生に適した有害物質"丸呑み"細菌を創成しようとするものである。
体腔は巨大分子の濃縮器であり、高分子輸送(取り込み)装置と連携している。細胞表層における孔(体腔)は、細胞表層の襞分子の流動を伴う再構成・再編成によって形成されることが、生化学的解析や電子顕微鏡観察などから考えられる。そこで、体腔形成に関わる情報、タンパク質、遺伝子、及びそれらの高次構造を解析することによって、体腔と高分子取り込み系全体の構造と分子機構を明らかにする。また、体腔形成能を他の細菌に移植することによって、巨大分子の分解能の優れた細菌を創成する。
このような研究の成果は、有害廃棄物の分解や高分子物質の新素材への変換など、環境・食品・化学を初めとする多くの分野への波及効果が期待される。
研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)
- 体腔・高分子物質輸送装置の形成と機能
(京都大学大学院農学研究科 村田 幸作) - 体腔・高分子物質輸送装置の構造と機能
(京都大学大学院農学研究科 三上 文三) - 環境有害物質分解菌の創成と環境浄化
(京都大学大学院農学研究科 村田 幸作・三上 文三)