研究代表者氏名及び所属
松田 一彦(近畿大学農学部)
研究実施期間
平成13年度~平成17年度(5年間)
研究の趣旨・概要
有史以来、肉食性昆虫は動いている昆虫を捕獲しなければならないというストレスに縛られてきた。そのため、特定の肉食性昆虫は、獲物を効率よく捕食するために自らの体型を変化させるとともに、毒を用いるように進化した。本研究は、共生細菌がつくる殺虫性タンパク質を用いてアリジゴクが獲物を捕食するという研究代表者自身による発見をふまえて、生態系を乱さない新しい害虫防除技術を開発しようとするものである。
これまでに、研究代表者はアリジゴクの共生微生物がつくる殺虫性タンパク質としてシャペロニンを同定したが、シャペロニン以外にも殺虫性を示すタンパク質が存在することをも見出している。そこで本研究では、広く各種の昆虫から殺虫性タンパク質をつくる微生物を単離し、殺虫性タンパク質および関連物質の構造を解明する。さらに、本研究により獲得した物質の作用機構を明らかにしたうえで、その機構に対して正あるいは負の影響を及ぼす化合物も探索する。
以上の研究は、昆虫―微生物生態系の理解を経て、21世記の食料問題を解決する新しい害虫防除手段の開発等の成果につながることが期待される。
研究項目及び実施体制(( )内は担当者)
- 昆虫共生微生物が産生する殺虫性タンパク質および関連物質の構造と作用機構の解明
(近畿大学農学部 松田 一彦) - 殺虫性タンパク質および関連物質の機能発現に影響を及ぼす化合物の探索
(近畿大学農学部 沢辺 昭義)