生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2002年度 採択された研究課題

ゲノム情報の活用による生活習慣病予防機能を強化した食品素材の創出

研究代表者氏名及び所属

吉川 正明
吉川 正明(京都大学大学院農学研究科)

研究実施期間

平成14年度~18年度(5年間)

研究の趣旨・概要

生活習慣病の予防に関与する各種食品成分の中で、タンパク質から派生するペプチドは多様な作用を示す点で群を抜いており、高血圧、高脂血症、糖尿病等の予防に寄与するもの以外にも、記憶の増強、ストレスの低減、育毛の促進等、新しい作用を示すペプチドが見出されている。
本研究では、集積しつつある動植物ゲノム情報を活用することによって、タンパク質中に潜在するこのような有用ペプチドを広範に探索し、ダイズ貯蔵タンパク質等のアミノ酸残基のごく一部を遺伝子操作技術によって置換することによって、有用ペプチドを含有させる。これにより生活習慣病予防機能が強化されたタンパク質を生産・利用することが可能になる。
この方法は本来のタンパク質とほとんど同じ構造を持つタンパク質をダイズ種子に生産・蓄積させるため、植物に与える影響も小さく、大量生産が容易となり、さらに、得られたタンパク質が従来含有されていたタンパク質とほとんど変わらない優れた加工特性や、安全性を持つことが期待される。このようなダイズタンパク質を食品成分として添加することによって、種々の生活習慣病に対して予防機能を有する食品の生産が可能になるものと考えられる。

研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)

  • 食品タンパク質に含まれる生理活性ペプチドの探索と機能解析並びにそれに基づいた高機能化タンパク質の設計と安全性の確認
    (京都大学大学院農学研究科 吉川 正明)
  • 高機能化タンパク質蓄積作物の開発
    (独立行政法人 農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター 石本 政男)

研究のイメージ

ゲノム情報の活用による生活習慣病予防機能を強化した食品素材の創出