生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2002年度 採択された研究課題

健康長寿社会に向けた食品開発のための食品物性・感性科学的研究

研究代表者氏名及び所属

神山 かおる
神山 かおる(独立行政法人 食品総合研究所)

研究実施期間

平成14年度~18年度(5年間)

研究の趣旨・概要

高齢化が進む中、青年~中年層の成人よりも咀嚼能力が低い咀嚼弱者が増加し、かたさ等の物性を調整した、高齢者に食べやすい食品の開発が社会的ニーズとなっている。
しかし、食品開発や品質管理で用いられている現行の物性測定では、食べやすさ等の感性的性質を示せない。一方、食品開発・研究者が行う客観的官能評価では、感性(感受性)が異なる高齢者が食べやすいかどうかは調べられない。
そこで本研究では、健康長寿者向け食品開発を支援するために、高齢者の感性に適合した食品物性規格を提示することを目標とする。
研究手法としては、咀嚼圧センサ等の咀嚼計測技術や、近赤外分光を利用した脳血流の測定を利用して、種々の物性をもつ食品について、食べやすさ等の感性的性質を体系的に数値化する。また、一般的なレオロジー注)測定機器を用いて、食べやすさを反映する物性分析法を見出す。そして、これらの生理学・物理学的データに、ニューラルネットワーク等の新しい感性情報処理技術を適用することにより、食品物性とそれを食べる人間の感性との関係解明をめざす。さらに、この基礎的成果を利用して、一口に入れる食物量や一食を構成する食品等の影響、食品加工法及び調製後の物性変化等も考慮しながら、高齢者の感性に応じた最適食品の設計を行う。

注)レオロジー:物質の変形と流動を総合的に取り扱う応用物理学で、食品のかたさ、粘り、もろさ等の食感に関わる特性を調べることができる。

研究項目及び実施体制 (( )内は研究担当者,所属は全員独立行政法人食品総合研究所)

  • 咀嚼圧計測等による食品感性の解析(神山 かおる)
  • 摂食中の脳活動の解析(檀 一平太)
  • 感性を反映した食品のレオロジー特性の解明(佐々木 朋子)
  • 感性情報処理を用いた最適食品の設計(植村 邦彦)

研究のイメージ

健康長寿社会に向けた食品開発のための食品物性・感性科学的研究