研究代表者氏名及び所属
大谷 敏郎(食品総合研究所)
研究実施期間
平成15年度~19年度(5年間)
研究の趣旨・概要
わが国独自のナノテクノロジーを応用し、迅速かつシステマティックなゲノム解析を可能にする「SPMダイレクトゲノム解析法」の開発を行う。
本研究では、SPM(走査型プローブ顕微鏡)技術を用いて、染色体をナノサイズの断片に連続的に切断して回収、解析することにより塩基配列解読を行う新規なゲノム解析技術を開発する。これまで長期間を要していたゲノム解析期間を短縮し、従来法では解読が困難であった特殊領域を解析可能にすることを研究の目的とする。
具体的な研究は、わが国の重要な産業用昆虫であり、ゲノム研究の蓄積が進んでいるカイコを対象として進める。実際には、1SPMによる染色体のナノレベル位置決定技術及び染色体ナノ断片の回収技術の開発、2ナノレベル位置データに基づく物理地図作成技術及び染色体ナノ断片の塩基配列解析技術の開発を行う。最終的には両者を統合して従来法とは全く異なるシステマティックかつ効率的なゲノム解析技術「SPMダイレクトゲノム解析法」を確立する。
イネゲノムやヒトゲノムの解読は既に終了しているが、今後、ゲノム解析の対象は、多種多様な農林水産業上有用な動植物に急速に拡大していくと考えられる。本技術によって、多くの生物種のゲノムを短期間に解析することが可能になり、その結果、遺伝子資源の迅速な獲得と権利化、さらに品種改良や育種の迅速化に貢献できる。
研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)
- 走査型プローブ顕微鏡(SPM)による遺伝子のナノ検出と操作
(食品総合研究所 大谷 敏郎) - 染色体ナノフラグメント解析システムの構築
(農業生物資源研究所 山本 公子)