研究代表者氏名及び所属
長嶋 比呂志(明治大学農学部)
研究実施期間
平成15年度~19年度(5年間)
研究の趣旨・概要
次世代の再生医療として期待される組織幹細胞移植治療の臨床応用を実現するためには、有効性や安全性を確実に評価し得る大型動物のモデル系の確立が必須である。
本研究では、ヒトへの類似性が高いブタを用いて、幹細胞移植治療の動物モデル系を構築する。具体的には、肝細胞・インスリン産生細胞などへ分化可能な、ブタ唾液腺由来幹細胞からクローンブタを作出し、それらにクローン元の幹細胞を分化誘導後に移植することで、拒絶反応のない「自家移植」のモデルを構築する。さらに、肝・膵臓障害等を持ったトランスジェニック・クローンブタを作出し、自己幹細胞移植治療の有効性・安全性の前臨床的評価を可能にする独創的動物モデルを確立する。
組織幹細胞からクローンブタを作出し、自家移植のモデル系を確立するという発想は、クローン動物の利用法としてかつてない独創性を持つ。今後、種々の組織幹細胞が樹立されるのに伴い、優れた自家移植動物モデルが提供されて初めて、真に安全で有効な幹細胞移植治療の普及が可能となる。さらに、この評価系が不可欠のものとして定着することで、ブタの実験動物としての利用が活発化し、養豚業の新展開と活性化を招来する効果も期待できる。
研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)
- 唾液腺由来幹細胞からのクローンブタの作出
(明治大学農学部 長嶋 比呂志) - ブタ内胚葉系幹細胞の供給と肝・膵臓障害モデルの細胞移植治療
(熊本大学大学院医学薬学研究部 遠藤 文夫) - ブタを用いた唾液腺幹細胞自家移植モデルの構築
(農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター 梶 雄次) - 唾液腺組織由来oligopotent幹細胞の自己移植による再生治療モデル系の構築
(福山大学生命工学部 山口 泰典) - ブタを用いた糖尿病移植治療の評価モデルの確立
((株)バイオス医科学研究所 三木 敬三郎)