生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2003年度 採択された研究課題

レギュレーター脂質の機能解析と高機能性食品創製への基盤研究

研究代表者氏名及び所属

佐藤 隆一郎
佐藤 隆一郎
(東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成15年度~19年度(5年間)

研究の趣旨・概要

高齢社会を迎えた日本では、今後益々生活習慣病に悩まされる高齢者が増加することが予想される。生活習慣病の中で、骨粗鬆症、高脂血症等の疾病は、種々の脂質分子が発症、予防に関わっている。骨代謝は骨芽細胞、破骨細胞におけるカルシウム代謝のバランスにより支えられているが、ビタミン、性ホルモンを結合する数種の核内受容体がこれを根元的に制御している。高脂血症の原因となる脂質代謝の破綻は、脂質分子により活性が調節される転写因子、あるいは脂質分子を結合する数種の核内受容体による重層的な調節機構の乱れに起因している。骨組織、肝臓等の細胞においては、脂質トランスポーターがこれら脂質分子の輸送、排出を調節しており、このトランスポーターの活性、発現を制御する脂質分子も存在する。
本研究では、この様な機能蛋白質(転写因子、核内受容体、トランスポーター)の機能を調節する脂質分子(レギュレーター脂質)の細胞内での作用機構を分子レベルで明らかにする基礎研究を目指す。さらに、これらの知見に基づき、骨代謝、脂質代謝を改善する働きを持つ新たなレギュレーター脂質の活性を評価する評価系を構築し、種々の食品成分中からの探索を試みる。
この様な研究で得られた成果から、骨粗鬆症、高脂血症等の生活習慣病の予防、健康の維持増進に資する高機能性食品の創製が可能となる。こうした実用化は、農畜水産業及び食品産業への波及効果が期待される。

研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)

  • 転写因子、核内受容体による脂質代謝制御機構の解明とレギュレーター脂質による調節
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 佐藤 隆一郎)
  • 脂質トランスポーターの活性調節機構の解明と高機能性食品による調節
    (京都大学大学院農学研究科 植田 和光)
  • 核内受容体を利用した骨増強食品素材評価系の確立
    (東京大学分子細胞生物学研究所 加藤 茂明)

研究のイメージ

レギュレーター脂質の機能解析と高機能性食品創製への基盤研究