生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2003年度 採択された研究課題

香りセンサーとしての嗅覚受容体の分子認識機構の解明

研究代表者氏名及び所属

東原 和成
(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

研究実施期間

平成15年度~19年度(5年間)

研究の趣旨・概要

ほ乳類から昆虫まで様々な生物において、全遺伝子の数%をも占める多重遺伝子ファミリーを形成する嗅覚受容体は、数十万種類といった多種多様な匂い物質を識別する香りセンサータンパク質である。しかし、匂い物質が嗅覚受容体のどの部分で認識されて、その化学情報がどのようなメカニズムで脳へ伝わり処理されるかはよくわかっていない。
本研究では、嗅覚受容体の匂い分子認識空間を立体構造的に分子レベルで解明することにより、香りセンサーとしての分子基盤の全貌を明らかにする。具体的には、匂いの構造と活性の相関を解析し、生物学的匂い応答実験と計算による理論予測を組み合わせることによって匂い結合部位の立体構造を決定する。匂いを混ぜると、匂い物質同士が嗅覚受容体の結合部位を競合することによって受容体の活性化または阻害がおきることを実証する。匂い混合臭の情報処理機構を受容体レベルと高次脳神経レベルで解析することによって、匂い物質を混ぜると新規な香りが創成されるという現象を分子レベルで明らかにする。
これらの基礎研究は、匂いの質の制御、有用な香りデザイン、バイオセンサー開発など、農林水産業や食品産業に役立つ応用研究につながると思われる。人間のQOL(生活の質の向上)を追求するための嗅覚の新しい生物機能利用法の開拓が期待される。

研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)

  • 嗅覚受容体の構造と機能の解明
    (東京大学大学院新領域創成科学研究科 東原 和成)
  • 嗅覚受容体のアンタゴニストの同定と生理的意義の解明
    (東京大学大学院新領域創成科学研究科 東原 和成)
  • 迅速簡便なアッセイ系の確立と悪臭の嗅覚受容体のアンタゴニズムの解析
    (東京大学大学院新領域創成科学研究科 東原 和成)

研究のイメージ

香りセンサーとしての嗅覚受容体の分子認識機構の解明

香りセンサーとしての嗅覚受容体の分子認識機構の解明

香りセンサーとしての嗅覚受容体の分子認識機構の解明

香りセンサーとしての嗅覚受容体の分子認識機構の解明