生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2004年度 採択された研究課題

昆虫が有する病原体認識システムの解明とその利用

研究代表者氏名及び所属

倉田 祥一郎
倉田 祥一郎(東北大学大学院薬学研究科)

研究実施期間

平成16年度~20年度(5年間)

研究の要旨・概要

昆虫は、遺伝子の再編成に頼らずとも、多様な感染病原体を認識し、排除できる。そこで、昆虫のどのような因子が、どのような病原体を認識し、どのようにして感染シグナルを増幅するのかを解明する。
本研究では、昆虫が有する多様な感染病原体の認識に関わる因子(蛋白質)を、ショウジョウバエを材料に、ゲノムレベルと蛋白質レベルの双方から同定し、病原体認識蛋白質を利用した特定病原体検出技術を開発するとともに、病原体認識蛋白質が示す分子密度上昇に依存した感染シグナルを迅速に増幅できる技術を開発する。加えて、昆虫の感染防御反応に作用する化合物の探索系を用いたスクリーニングにより、感染防御反応に作用する化合物を探索・同定し、その化合物を利用した昆虫の耐病性制御をもとに生物に普遍的な自然免疫を人為的に制御する技術を開発する。
本研究により、食品衛生管理や医療検査における病原体検出キットが提供できるほか、耐病性制御による昆虫管理技術を基に、環境中の非病性細菌を利用した害虫駆除や昆虫産業から畜産・養殖産業など多岐にわたる感染防御技術の開発が可能となるものと期待される。また、病原体認識蛋白質が示すシグナル増幅技術は、物質の集合状態を区別できる可能性があり、広く生物系産業への応用が期待できる。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 昆虫の病原体認識システムの解明と利用(国立大学法人東北大学大学院薬学研究科 倉田祥一朗)
  • 昆虫の感染防御反応を制御する化合物の探索と利用(国立大学法人東北大学大学院薬学研究科 倉田祥一朗)

研究のイメージ

昆虫が有する病原体認識システムの解明とその利用