生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2004年度 採択された研究課題

分子生物学の新しいモデル生物としてのミツバチの開発と利用

研究代表者氏名及び所属

久保 健雄
久保 健雄
(東京大学大学院理学系研究科)

研究実施期間

平成16年度~20年度(5年間)

研究の要旨・概要

言語に代表される抽象化の能力や利他的行動は、社会性を持つ高等動物に顕著に見られる生物特性である。しかしながら、これらの生物特性を解析するために相応しいモデル生物は、現時点では存在しない。
ミツバチは社会性昆虫であり、「ダンス言語」を用いて仲間に花の位置を数えたり、コロニーを防衛するため天敵を攻撃する等の「利他的攻撃行動」を示す。本研究は、ミツバチの脳内で発現する遺伝子に着目して、これらミツバチの行動に関わる遺伝子を同定するとともに、その機能がどの程度、動物種を越えて保存されているか調べる。これらの研究を通じて、分子生物学の次世代モデル生物としてのミツバチ特性を明らかにし、その利用を進める。
本研究から得られる知見は、種々の家畜やペットの記憶力の向上や攻撃性の抑制、繁殖性の向上を目指した新品種/系統の選別、開発などへの応用が期待される。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • ミツバチの新規な初期応答遺伝子を利用したダンス言語野のマッピング
    (国立大学法人東京大学大学院理学系研究科 久保健雄)
  • 光刺激-口吻伸展反射連合学習系に関わる遺伝子とそのホモログに関する研究
    (国立大学法人東京大学大学院理学系研究科 竹内秀明)
  • Kakugoウイルスによる攻撃性の誘導の検証と、ウイルスベクターの開発
    (国立大学法人東京大学大学院理学系研究科 久保健雄)
  • ミツバチの社会性行動に応じて脳で発言が変動する遺伝子の同定とそのホモログに関する研究
    (国立大学法人東京大学大学院理学系研究科 森岡瑞恵)
  • キノコ体選択的な転写因子Mblk-1を介した遺伝子ネットワークとそのホモログに関する研究
    (国立大学法人東京大学大学院理学系研究科 竹内秀明)

研究のイメージ

分子生物学の新しいモデル生物としてのミツバチの開発と利用