生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2005年度 採択された研究課題

イネ胚乳細胞のオルガネラ工学の開発と利用

研究代表者氏名及び所属

イネ胚乳細胞のオルガネラ工学の開発と利用
川越 靖
(独立行政法人農業生物資源研究所)

研究実施期間

平成17年度~21年度(5年間)

研究の趣旨・概要

本研究は、我が国が大きく貢献したイネゲノム解読の成果を活用して、イネ種子の胚乳細胞の2つの貯蔵オルガネラ(細胞内小器官)の形状を制御する新技術の開発を目標とする。
第1のターゲットはデンプンを合成・貯蔵するアミロプラストの分裂・発達の制御方法を開発すること、第2のターゲットは種子貯蔵タンパク質(グルテリン及びグロブリン)を貯蔵する液胞起源のタンパク質顆粒の生成・発達の制御方法を開発することである。
具体的には、各種蛍光タンパク質を含む融合タンパク質の遺伝子設計、アグロバクテリウム法によるイネへの遺伝子導入、共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞内微細構造の観察などの異なる研究手法を組み合わせて得られる知見を統合して、イネの胚乳細胞を構成する貯蔵オルガネラの形状を制御する新たな「オルガネラ工学」を開発する。アミロプラストとタンパク質顆粒のオルガネラ工学を開発することにより、その内部に貯蔵されるデンプンや貯蔵タンパク質への質的及び量的な影響を解析する。これらの貯蔵物質は、米の食品としての栄養価や食味などを決定し、かつ物理化学的特性を決定する要因なので、オルガネラ工学によって作出する米の粒と粉の加工特性をそれぞれ評価する。
本研究は、米の加工特性の幅を大きく拡げることによって、米の新用途を開発し、輸入原料との代替えにより我が国の食料自給率の向上にも寄与するほか、各種実験の材料としても優れているイネを用いていることから、得られる成果は、同様な実験が困難な他の主要穀物(トウモロコシやコムギ等)へ応用が可能なため、波及効果は広範囲に及ぶことが期待される。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 胚乳アミロプラストの分裂制御方法の開発
    (独立行政法人農業生物資源研究所 川越 靖)
  • 胚乳タンパク質顆粒の生成・発達の分子機構の解明
    (独立行政法人農業生物資源研究所 川越 靖)

研究のイメージ

イネ胚乳細胞のオルガネラ工学の開発と利用