生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2005年度 採択された研究課題

環境保全型農業における生産性向上をめざした窒素利用効率を司る分子機構の解明

研究代表者氏名及び所属

大杉 立
大杉 立
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成17年度~21年度(5年間)

研究の趣旨・概要

食糧生産の増大は、これまで窒素施肥の増加と相まって達成されてきた。しかし、投入された窒素の多くは農地より流出し、環境に悪影響をもたらしている。このため、今後は低窒素投入による環境保全型農業が望まれている。
本研究は、低窒素条件でも高収量を維持できる高い窒素利用効率作物開発のための改変ターゲットを特定することを目標に、まず、窒素利用効率を高める効果のあるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(GDH)や転写調節因子(Dof1)を導入したイネとバレイショについて、遺伝子、代謝物、光合成・転流機能、収量性などを高・低窒素条件で網羅的に解析・比較する。また、効率的プロモーター解析手法等を駆使して高窒素利用効率に関わる新たな調節因子の特定を行う。更に、量的遺伝子座(QTL)解析により、高い窒素利用効率に関わる有用遺伝子座を明らかにする。
これらの解析により、低窒素条件での効率的な窒素利用と炭水化物生産における新たな遺伝子・代謝ネットワークを提案するとともに、高い窒素利用効率作物開発のためのいくつかの改変ターゲットを明らかにする。
本研究で得た遺伝子をDNAマーカー等として利用することで低窒素適応品種の育成が大きく進むものと期待される。これらの成果は我が国や諸外国、特に開発途上国の環境保全型農業の促進と地球環境保護に大きく貢献するものと考えられる。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 高窒素利用効率関連遺伝子を導入したバレイショ及びイネの解析
    (国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 大杉立)
  • 窒素利用効率を司る制御因子の検索
    (国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 柳澤修一)
  • 窒素利用効率の遺伝解析
    (国立大学法人東京大学アジア生物資源環境研究センター 根本圭介)

研究のイメージ

環境保全型農業における生産性向上をめざした窒素利用効率を司る分子機構の解明