生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2005年度 採択された研究課題

酵素デザインを活用したミルクオリゴ糖の実用的生産技術の開発

研究代表者氏名及び所属

北岡本光
北岡本光
(独立行政法人食品総合研究所生物機能開発部)

研究実施期間

平成17年度~21年度(5年間)

研究の趣旨・概要

人乳に含まれるミルクオリゴ糖にはビフィズス菌増殖効果あるいは感染防御などの種々の生理活性の存在が証明されており、ミルクオリゴ糖を食品用途に使用可能なコストで製造できれば新しい機能性食品素材として有望であるが、そのような製造法は現在まで皆無である。
一方、腸内善玉菌として知られているビフィズス菌はミルクオリゴ糖を分解・代謝することにより新生児の腸管内で増殖・定着すると考えられている。
本研究課題では、このようなビフィズス菌の持つミルクオリゴ糖分解酵素を合成酵素に改変して利用することにより、ミルクオリゴ糖を食品として使用可能な安価なコストで生産する技術の開発を目指す。目的の酵素は立体構造情報に基づき機能改変のデザインを行って合成する。
得られる成果からは、新生児に対して理想的なビフィズス菌増殖因子として働いているミルクオリゴ糖を、粉ミルク添加剤として人工乳栄養乳児の健康に貢献する食品素材に利用することが期待される。
また、昨今種々の糖鎖の生理機能が明らかにされており、糖鎖工学の研究領域が注目を集めているが、細胞認識に重要な役割を果たしている糖脂質糖鎖と同じ構造であり、重要な糖鎖の一つであるミルクオリゴ糖が安価に供給されることは今後の糖鎖工学研究の発展に重要であり、これを基にした種々の糖鎖医薬品開発にもつながることが期待される。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • ホスホリラーゼ工学によるミルクオリゴ糖製造技術の開発
    (独立行政法人食品総合研究所生物機能開発部 北岡本光)
  • ミルクオリゴ糖代謝関連酵素の立体構造解析と改変酵素の分子設計
    (国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 伏信進矢)
  • ミルクオリゴ糖を分解するビフィズス菌由来の酵素の探索と応用
    (国立大学法人京都大学大学院生命科学研究科 山本 憲二)

研究のイメージ

酵素デザインを活用したミルクオリゴ糖の実用的生産技術の開発