生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 採択された研究課題

植物の「みずみずしさ」の分子機構解明とその応用のための基盤研究

研究代表者氏名及び所属

且原 真木
且原 真木
(国立大学法人岡山大学資源生物科学研究所)

研究実施期間

平成18年度~22年度(5年間)

研究の趣旨・概要

水はすべての生命活動において必須な基本物質であり、植物を健全に育 て、収穫物の鮮度を保つためには適切な水管理が不可欠である。しかし植物と水の関係を取り扱う「水分生理学」や水管理技術においては、生化学的あるいは分子生物学的な知見はこれまでほとんど盛り込まれていない。というのも植物の「みずみずしさ」を実現している分子、すなわち植物細胞での水の出入りや貯水機能を司っている分子=アクアポリンは近年(1992年)になって発見されたものであるために、その研究、特に応用につながるような基盤研究がまだ十分に進んでいないからである。
本研究ではアクアポリンの構造と調節機構を研究し、農作物(植物)の水吸収・水輸送において、これまで手つかずであった分子機構・基盤原理の解明をすすめることを目的としている。その成果は根本的に新しい水管理手法の開発を含め、従来の技術では対応できなかったような栽培・植栽環境(乾燥地等、水利用が困難な環境)への対応、果物や花卉の品質や鮮度保持の向上(「みずみずしい」農産物の生産と供給)等の実現へつながることが期待される。また二酸化炭素輸送能等、水の吸収・輸送以外のアクアポリン新機能の解析とその利用も本研究の目的としている。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

1イネ科植物のアクアポリンの多彩な役割と制御機構の解明およびその応用
(国立大学法人岡山大学資源生物科学研究所 且原真木)
2アクアポリン分子種の分子機能解明と園芸作物への応用展開
(国立大学法人名古屋大学大学院生命農学研究科 前島正義)
3植物および微生物アクアポリンのゲーティング機構の解明と応用
(秋田県立大学大学院生物資源科学研究科 北川良親)
4植物の吸水と保水の分子メカニズム
(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 村井麻里)

研究のイメージ

植物の「みずみずしさ」の分子機構解明とその応用のための基盤研究