生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 採択された研究課題

耐熱性発酵微生物の「耐熱性」分子機構の解明と発酵産業への利用

研究代表者氏名及び所属

松下 一信
松下 一信
(国立大学法人山口大学農学部)

研究実施期間

平成18年度~22年度(5年間)

研究の趣旨・概要

酵母や酢酸菌などの有用発酵微生物は一般に低温(15~25?C)を好むことから発酵生産の温度制御が非常に重要である。これらの発酵微生物には、好熱性菌の存在は考えにくいため、より高温(+10~20?Cを想定)に適応した耐熱性菌の分離もしくは遺伝子工学的開発が合理的である。
本研究では、常温菌である酵母・大腸菌の「熱耐性」機構の解析、さらに既に我々が分離している耐熱性を有する酵母や酢酸菌の耐熱性機構の解析や常温菌との比較ゲノム解析を通じて、「耐熱性」の分子機構を解明し、その成果を利用した高温発酵系の開発に取り組む。
「耐熱性」微生物の利用は発酵生産の温度管理を容易にすることで、国内の醸造・発酵産業に大きく貢献できるが、それにも増して大幅な冷却エネルギーの削減を可能にすることで「京都議定書」の遵守に発酵・醸造部門から貢献できるものと期待される。加えて、高温のため醸造産業の脆弱な東南アジアでの発酵産業の育成にも貢献できると期待される。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 酵母の熱耐性機構の解析と耐熱性アルコール発酵酵母の育種
    (国立大学法人山口大学工学部 赤田倫治・星田尚司)
  • 大腸菌の熱ショック応答及び熱耐性機構の解析
    (国立大学法人山口大学農学部 山田 守)
  • 耐熱性酢酸菌の耐熱性機構の解明と高温酸化発酵系の開発
    (国立大学法人山口大学農学部 松下一信・外山博英・足立収生、同医学部 東 慶直)
  • 耐熱性酵母及び酢酸菌の常温菌との比較ゲノム解析
    (国立大学法人山口大学医学部 白井睦訓・東 慶直、同農学部 松下一信)
  • 耐熱性酵母の耐熱性機構の解析と高温エタノール発酵系の開発
    (国立大学法人山口大学工学部 赤田倫治・星田尚司)

研究のイメージ

耐熱性発酵微生物の「耐熱性」分子機構の解明と発酵産業への利用