生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 採択された研究課題

カイコゲノム研究基盤を活用した昆虫の比較ゲノム解析

研究代表者氏名及び所属

安河内 祐二
安河内 祐二
(独立行政法人農業生物資源研究所)

研究実施期間

平成18年度~20年度(3年間)

研究の趣旨・概要

近年、ゲノム研究の成果は農林水産業にも幅広く応用されるようになる一方で、ゲノム研究基盤の未整備な種との格差は急速に拡大している。陸上動物の生物種の8割以上を占める昆虫は農林業に対する主要な脅威でもあり、環境への負荷を低減した管理技術が求められている。本研究では、多くの主要害虫を含む鱗翅目(ガやチョウの仲間)において、近年急速に整備の進んだカイコゲノム研究成果の利活用を容易にするために、染色体上の相同領域の対応関係(シンテニー)を明らかにした比較ゲノム地図を作成する。その結果、とかく「ブラックボックス化」しがちな昆虫の高次生命現象の解明が加速化されることが期待される。
具体的な研究内容としては、カイコ以外の鱗翅目昆虫の遺伝子のうち、ゲノム上に1コピーのみ存在して種間で高く保存されているものを比較のためのマーカーとして選定する。これらの遺伝子の当該種での染色体上の位置を蛍光in situ hybridization(FISH)法により検出するとともに、カイコでの位置を既に作製している連鎖地図上に位置づける。両者を比較検討することにより、カイコとのシンテニーが明らかになり、この作業を系統的に異なるいくつかの種で行うことにより、鱗翅目昆虫の多くの種間でゲノムの相互比較が可能になる。また、比較に用いた遺伝子の上流にある調節領域を相互比較することにより、遺伝子の特異的発現に必要な要素が明確になり、カイコで望んだ組織で望んだ時期に外来遺伝子を効率的に発現させることが可能になる。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

1遺伝・物理地図情報を用いた比較ゲノム解析
(独立行政法人 農業生物資源研究所 安河内祐二)
2FISHによる比較ゲノム解析
(国立大学法人北海道大学大学院農学研究院 佐原健)