生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 採択された研究課題

酵素によるイノシトールリン脂質およびイノシトールリン酸の合成

研究代表者氏名及び所属

岩崎 雄吾
岩崎 雄吾
(国立大学法人名古屋大学大学院 生命農学研究科)

研究実施期間

平成18年度~20年度(3年間)

研究の趣旨・概要

天然リン脂質の一種であるホスファチジルイノシトール(PI)には抗肥満・抗高脂血症・コレステロール低減等、有用な生理機能が認められており、機能性食品としての利用が期待されている。しかし、植物レシチン等の天然成分からPIを抽出・精製するためには毒性の溶媒を多量に必要とする等の問題があり、これまでPIを食品素材として製造する有効な方法はなかった。そこで本研究では、酵素を用いてPIおよびその誘導体であるイノシトールリン酸(IP)を製造するための基礎研究を行う。
PI合成活性を持たない既存の放線菌ホスホリパーゼD(PLD)を蛋白工学的に改変して同合成活性を有する実用的な改良型酵素を創製し、さらに組換え微生物での大量発現系を構築する。次に得られた改変型PLDを利用して、大豆レシチンとイノシトールからPIを酵素合成する方法を開発する。さらに、PIをホスホリパーゼCで処理し、IPの酵素合成法も開発する。
こうして製造されたPIやIPは、機能性食品素材としての利用が期待できる。また、一方の原料である大豆レシチンは大豆油製造時の副生物であり、他方の原料であるイノシトールは精米時に副生する米糠から容易に得られる。従って本研究は食品分野における副生物の有効利用に寄与するものである。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • リン脂質変換酵素の機能改変と大量調製法の確立
    (国立大学法人名古屋大学大学院 生命農学研究科 岩崎雄吾)
  • 改変酵素を用いたイノシトールリン脂質およびイノシトールリン酸の合成
    (国立大学法人名古屋大学大学院 生命農学研究科 岩崎雄吾)

研究のイメージ

酵素によるイノシトールリン脂質およびイノシトールリン酸の合成