生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 採択された研究課題

ヘテロシス固定による新育種法の開発に向けたアポミクシス機構の解明

研究代表者氏名及び所属

高原 学
高原 学
(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所)

研究実施期間

平成18年度~20年度(3年間)

研究の趣旨・概要

「アポミクシス」とは、無性的な胚発生によって植物の種子が形成される生殖様式をいい、人類が食用とする主要作物にはほとんど見られないが、植物界には300種以上に広く存在している。これを利用すれば、動物での体細胞クローンと同じように、母株と全く同じ遺伝子型を持った種子を大量に得ることができ、さまざまな作物で育種や種子生産の効率を飛躍的に向上させることができる。
本研究では、アポミクシスと有性生殖の両系統がある熱帯性牧草ギニアグラスを研究材料に、1連鎖解析による知見とFISH法など染色体レベルの解析を結びつけて、アポミクシス遺伝子領域のゲノム構造の解明とそこにある遺伝子の解析を行うとともに、2花穂で発現する遺伝子のEST解析を行い、両方の知見を総合してアポミクシスに関わる遺伝子の全体像を把握することを目指す。
本研究が進展し、その成果をもとにアポミクシスが農業的に利用できるようになれば、トウモロコシ・ハイブリッドライス・野菜などヘテロシスを利用する作物の育種年限が大きく短縮されるとともに、親系統の維持が不要となることから種子生産コストが低減できる。さらに、さまざま作物で既存育種法に換わる「アポミクシス育種法」の可能性が拓かれ、新品種開発が加速化するなど育種・種子生産システムの一大革新が期待できる。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • ギニアグラスのアポミクシス遺伝子座近傍領域のゲノム構造の解明
    (独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所 高原 学)
  • ギニアグラスの花穂で発現するアポミクシス特異的遺伝子群の解明
    (独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所 高原 学)

研究のイメージ

ヘテロシス固定による新育種法の開発に向けたアポミクシス機構の解明