生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2007年度 採択された研究課題

異種間生殖系列キメラを用いた魚類の配偶子誘導に関わる実証的研究

研究代表者氏名及び所属

山羽 悦郎
山羽 悦郎
(国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)

研究実施期間

平成19年度~23年度(5年間)

研究の趣旨・概要

「桃栗三年、柿八年」というが、これは種から育てて実がなるまでをいう。甘柿の枝を渋柿の木に「接木(つぎき)」すればもっと早く甘柿を食べることができる。本研究は、このような作物の生産に使われている「接ぎ木」技術を、養殖魚の種苗の生産に応用できるかどうかを実証しようとする研究である。
本研究では、生殖腺の中にある精子や卵の素(もと)となる細胞を、異なる種に属する養殖魚の細胞に置き換えた個体(生殖系列キメラ)を作り、(1)キンギョやドジョウ、ゼブラフィッシュといった淡水魚を使って、ウナギを含む様々な水産重要種の卵や精子を作りだせるか、(2)異種を使った配偶子形成の限界が、種の遺伝的差によるか、種間にある繁殖特性の違いによるものか、(3)雑種のゲノム構成等を持つ細胞から卵や精子を作りだせるか、を解析する。
これにより、ウナギのように親になるまでの時間がかかり、成熟が難しい魚の卵や精子を、小型で、短期間で成熟する魚種に作らせて、次の世代を作るための期間を短くし、餌やスペースのコストを下げることが期待できる。また、病気に弱い魚種の卵や精子を強い魚種に作らせることにより、子供を取るための親を病気で失わずにすますことが期待できる。さらに、これまでモデル魚で行なわれてきた核移植や遺伝子導入、ジーンターゲッティング等の研究の成果を、直接、産業重要種へ適用できるようになる。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • キンギョを宿主とした生殖系列キメラの誘導と機能解析
    (国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 山羽 悦郎)
  • ドジョウを宿主とした生殖系列キメラの誘導と機能解析
    (国立大学法人北海道大学水産科学研究院 荒井 克俊)
  • ウナギを含む様々な魚種の成熟誘導と受精卵の供給
    (国立大学法人北海道大学水産科学研究院 足立 伸次)

研究のイメージ

異種間生殖系列キメラを用いた魚類の配偶子誘導に関わる実証的研究