生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2007年度 採択された研究課題

機能微生物ゲノミクスによる農耕地からの亜酸化窒素ガス低減化

研究代表者氏名及び所属


妹尾 啓史
妹尾 啓史
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成19年度~23年度(5年間)

研究の趣旨・概要

農耕地土壌、特に畑土壌からの温室効果ガス亜酸化窒素(N2O)の発生が問題となっている。本研究は、N2O除去能力の高い土壌微生物を利用して農耕地からのN2O発生量を低減化することを目標とする。
ダイズの根粒根圏に存在するN2O発生型微生物コミュニティーおよび水田土壌に存在するN2O除去型微生物コミュニティーの構造と機能を明らかにする。このコミュニティーの中心として機能する微生物を特定・分離し、そのゲノムを解析する。これらの情報に基づき微生物コミュニティーの窒素変換機能を明らかにし、土壌中におけるN2Oの生成・除去経路の正確な全体像を把握する。さらにN2O除去微生物の土壌への定着と機能発現に必要な条件をゲノム情報により解析し、微生物によるN2O除去技術を考案する。具体的には、土壌に存在しているが機能していないN2O除去微生物を増殖・活性化する方法ならびに、分離したN2O除去鍵微生物を外部から導入し定着・機能させる方法を開発する。また、N2O還元除去能が強化された根粒菌株を作製し、それが共生したダイズ根粒によるN2O除去技術を開発する。これらの技術を現場スケールで評価・検証し実用化に向けた技術的基盤を構築する。
本研究の成果は、環境における窒素循環システムの学術的解明に貢献するとともに、農業における地球温暖化防止・環境保全技術のシーズとなる。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 水田土壌微生物コミュニティーのN2O除去機能の解明と低減化への利用
    (国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 妹尾啓史)
  • 根圏微生物コミュニティーのN2O発生メカニズムの解明とその低減化
    (国立大学法人東北大学大学院生命科学研究科 南澤 究)
  • N2O発生の要因解析と微生物コミュニティーによるN2O発生抑制技術の評価と実証
    (独立行政法人農業環境技術研究所 八木一行)

研究のイメージ

機能微生物ゲノミクスによる農耕地からの亜酸化窒素ガス低減化