研究代表者氏名及び所属
西澤 直子
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科)
研究実施期間
平成19年度~23年度(5年間)
研究の趣旨・概要
イタイイタイ病の原因としてよく知られるように、カドミウムはヒトに対する毒性が高い有害金属元素です。しかし植物に対する毒性は比較的低いために、土壌中のカドミウムを吸収・蓄積した植物由来の食品を摂取することによって、私達はカドミウムを体内に取り込んでしまいます。特に日本人の場合、主食であるコメからのカドミウム摂取が、カドミウム摂取量の半分を占めるといわれます。従って食品中のカドミウム含量を低減することは極めて重要な課題です。
本研究では、イネ、ナス、ダイズの三種の作物におけるカドミウムの吸収、移行、蓄積に関与する遺伝子群を同定し、それらを制御することによって、可食部にカドミウムを蓄積しない「低カドミウム作物の開発」を目指します。「作物のカドミウム低減の分子機構」が明らかになれば、この成果は三種の作物以外にも広く応用可能となります。最終的には、「低カドミウム作物の開発」により「食の安全」を確保し「健康な暮らし」を支えることに貢献することを目指します。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 作物におけるカドミウムの吸収と蓄積の分子機構
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 西澤 直子、中西 啓仁) - 作物のカドミウム輸送機構の生理的解析
(独立行政法人農業環境技術研究所 荒尾 知人、石川 覚) - ナス属のカドミウム吸収特性に関する遺伝子発現解析基盤の構築
(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所 福岡 浩之、山口 博隆)